初めに、大規模な
予防的避難の在り方についてお尋ねします。
本年9月6日から7日にかけて本市に接近した台風10号は、
特別警報級の警戒が必要として、テレビをはじめ
マスコミ各社から、これまでに経験したことのないような猛烈な台風、深刻な災害が発生する可能性が高い、最大級の警戒と早めの避難をなど、連日繰り返し呼びかけられました。
また、熊本地震の経験や7月の豪雨災害の記憶も新しいところでもあったため、熊本市民の多くが強い危機感を持ち、早期の避難行動を取りました。このためカップ麺やパンなどの食料品、ペットボトルの水、窓ガラスの養生テープなどが売り切れました。また、
GoToトラベルを利用した
ホテル避難により、満室で予約が取れなくなったところや、車の避難で立体駐車場に長蛇の列ができるところもありました。
これに加え、コロナ禍でもあり、避難所へ行くのをちゅうちょされる方がいる一方、避難所側もソーシャルディスタンスを踏まえた収容人数となったことから、すぐに満員となり、空いている避難所を探し回るというケースも発生しました。
そこで、1点目の質問として、今回のような大規模な
予防的避難となる場合、例えば
避難所ごとの収容人数について、余裕があるのか満員なのかを、様々な広報手段を使って市民に知らせることが必要かと思いますが、いかがでしょうか。
また、台風10号では、
避難所運営職員3名だけの運営となり、9月6日日曜の朝から7日の月曜日の午後まで約30時間、交代なしで避難所に詰めていたことになります。台風が接近する中で、一旦自宅に帰ることは安全上問題がありますので致し方ないと思いますが、避難された方の中からお手伝いできる方がいらっしゃれば、職員の負担も軽減できたのではないかと思いました。
本市避難所運営マニュアルでは、熊本地震のような突発的かつ大規模な災害が発生した場合に、
避難所運営委員会が避難所に自動参集し、あらかじめ定めた一定のルールに基づいて
避難所運営を行うこととなっています。ここで言う突発的かつ大規模な災害とは、震度6弱以上の地震、または
災害対策本部長である市長が指示する場合となっており、今回の台風10号のような
予防的避難については、この
避難所運営委員会が発動する条件に当てはまりません。
そこで、2点目の質問として、今回の台風10号のような大規模かつ
予防的避難の際の
避難所運営について、今回の経験を基に各避難所で臨機応変な運営ができるよう、市として取り組んでいただけないかと思います。例えば、避難してきた人の中からお手伝いをしていただけるような方を見つけて、役員となっていただくことで職員の負担軽減になり、スムーズな運営ができるのではないかと考えます。
避難所運営職員の方々が日頃から地域の行事等に顔を出し、関係を深めておくことで、いざというとき、
避難所役員としてのお手伝いをしていただけるのではないかと思いますが、この点についてのお考えをお示しください。
次に、エアコンがない避難所の課題があります。特に市内181か所の
指定避難所のうち、134か所を占める小中学校の体育館に空調はありません。令和元年第2回定例会の吉田議員の体育館の
エアコン設置についての質問に対し、市長は体育館の
エアコン設置については、避難所としては重要であると認識しているが、建物構造や設置費用、また
維持管理費等の面で大変課題が多いと考えている。災害時の対応としては、応急的にはエアコンが設置された教室を開放するとともに、避難が長期化する場合には、リース等でエアコンを設置したいと考えているとの御答弁でした。
この問題について、私も今年の7月豪雨や9月の台風10号など、夏場の一時的な避難所については、エアコンがない体育館よりも、エアコンがある教室に避難するようにするのが運営面の課題はあるものの、
費用的課題がなく、現実的ではないかと考えています。
教室避難の場合、1つの教室に入れる人数が限られ、運営する人員も開ける教室の数に合わせて増やさなければならず、また、学校の備品や児童の学用品がなくなる可能性もあり、クリアすべき課題はあります。しかしながら、教室避難だとエアコンがあり、トイレも洋式が使えます。また、分割避難となるため、体育館よりもストレスを感じなくて済みます。
そこで、3点目の質問として、夏場の一時的な避難所については、体育館ではなく、エアコンがある教室にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
以上3点、大西市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 避難所に関する3点の質問にお答えいたします。
まず、1点目の
避難所ごとの
収容状況等の周知について、台風10号の際は、多くの方が避難所に避難をされましたが、近隣の
避難所情報がなく、受入れ可能な避難所を紹介できないなどの課題がございました。避難される方が避難所の混雑状況を事前に把握できれば、特定の避難所への集中を抑え、危険が迫る中での再移動などを防ぐ効果も期待できることから、今後、混雑状況などをお知らせする仕組みを構築したいと考えております。
次に、地域と連携した
避難所運営についてでございますが、今回の台風10号における避難所は、通常の風水害と同様に職員主体で運営を行ったところです。しかし、議員御指摘のように、円滑で効率的な
避難所運営を図るためには、地域との連携が非常に有用であると考えておりまして、今後も訓練等を通じた地域との交流や
信頼関係づくりに努め、連携を深めてまいります。
最後に、エアコンがある教室への避難についてですが、これまでも避難者の
熱中症対策として、必要に応じて応急的に教室等を開放することとしておりますが、今回は
避難所閉鎖後、直ちに授業を再開するために必要な消毒等の課題があったことから、体育館だけを使用した学校があったとの報告を受けております。現在、今回の
避難所運営について様々な観点から検証を行っておりまして、コロナ禍における学校施設の使用の在り方も含め、
避難所運営について引き続き、
教育委員会と協議をしてまいります。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
避難所ごとの収容状況の周知については、混雑状況が市民に分かりやすく伝わるような仕組みの構築をお願いします。
地域と連携した
避難所運営については、臨機応変な対応ができるよう、日頃から
避難所運営職員の方々が地域との関係を深めておくことが大事だと思いますので、よろしくお願いします。
教室への避難については、これまでも応急的な教室の開放はされているようですが、今後は夏場の小中学校の一時避難については、基本的に教室となるよう、鋭意工夫をしていただくことを求めておきます。
次に、
ペット同伴の避難についてお尋ねいたします。
今回の台風10号では、南区の
アクアドームくまもとに、行政として全国でも初めて
ペット同伴可の
避難スペースが設けられました。避難所が開設される2日前の金曜日に、私のところに、ペットと同伴できる公的な避難所はないかと相談があり、市に確認したところ、ないということでありましたので、諦めてもらったのですが、2日後の日曜日の朝、
アクアドームが
ペット同伴で避難できるようになったと聞き、すぐにそのことを相談者に伝えました。
今回の
ペット同伴避難は、飼い主から歓迎された一方、マニュアルもなく、
ぶっつけ本番であったことから、一般の避難者から鳴き声や臭いなどの苦情も多かったようです。
本市危機管理防災総室としては、人間の安全確保が最優先で、
ペット同伴可の避難場所の確保は率直に言って難しいとのことでした。緊急事態下での見切り発車だったとはいえ、私は巨大な台風が近づく中で、どうしても
ペット同伴でないと避難できない市民が一定数いらっしゃる以上、多くの課題が発生するおそれがあることを承知した上で、
ペット同伴可の
避難スペースを確保する決断をしたのだろうと高く評価をしております。
今回実施して、
ペット同伴の
避難所運営は様々な課題があることが分かりました。しかし、だからといって諦めるのではなく、一つ一つの課題に対し知恵を出して、解決策を探し、拡充を目指していただきたいと思っております。
今回の台風10号では荒尾市でも
ペット同伴の避難所が設けられたという地方紙の記事がありました。記事によると、荒尾市は
ペット同伴を認めたのは、小中学校11校と旧小学校の計12か所。各教室を避難所にしていたため、体育館でペットと飼い主を受け入れたとのことです。荒尾市の担当の方に直接電話でお聞きしたところによると、避難したペットは25頭ほどで、人はエアコンがある教室、ペットは体育館で、ケージやトイレ等は飼い主が準備し、ペットと一緒にいたい人は体育館で一晩過ごしていただいたということでした。
そこで、本市としても、今回の台風10号のような大規模な
予防的避難の場合は、荒尾市の事例を参考に、人は教室、ペットは体育館、ペットと一緒にいたい人は体育館へ避難するといった避難所を市内に数か所設置してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
大西市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 平成28年熊本地震の際は、避難所によってはペットと一緒に避難ができなかったことから、多くの方が自宅や車中での避難を余儀なくされました。そこで、今回の台風10号は
特別警報級の暴風雨により、甚大な被害が予想されておりましたことから、一人でも多くの方々に避難していただくよう、早めの周知を行ってまいりました。その際、ペットを連れて避難したいという多くのニーズがあったことから、急遽検討を行いまして、
ペット同伴専用の避難所を初めて開設をしたところです。
今回は事前に十分な準備ができない状況の中で、一般の避難所と併設をいたしましたことから、他の避難者の方から鳴き声や臭いに対する苦情等が寄せられまして、また、ペットを入れるケージを用意せずに来られる方も多いなど、様々な課題が明らかになったところです。しかしながら、162匹のペットと371人の方が避難をされておりまして、一定の効果があったものと考えております。
災害時におけるペットへの対応は、市民の皆様にとって切実な問題でありますことから、今後は動物の専門家や
関係団体等と連携をし、避難所での受入れ要領や
受入れ場所、さらにはペットを預かる
仕組みづくりなどについて検討を行い、市民の皆様が安心して避難できる環境の整備に取り組んでまいります。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
ペット同伴避難については、今後、動物の専門家や関係団体と連携し、ペットを預かる仕組みについて検討されるという御答弁でした。
ペット避難については、熊本地震のときから様々苦慮されていることは承知しております。学校の体育館を
ペット同伴の避難所にすることについては触れられませんでしたが、先ほど申しましたように、教室を使うことにより体育館を
ペット同伴避難所として活用することができます。先ほど紹介した荒尾市の場合、避難所となる
小中学校ごとに市役所の1つの課を割り当てて、1つの課が1つの学校の
避難所運営を担当するという職員総出の運営であったとのことでした。体育館を
ペット同伴避難所とする場合、当然相応のスタッフが必要となりますので、荒尾市等の事例もぜひ参考にされ、
ペット同伴避難が必要な方も安心して避難できる体制整備をお願いいたします。
ここで避難所に関して、
一つ災害備品について御紹介させていただきます。
先般、9月議会の一般質問で我が会派の藤永議員から
段ボールベッドの必要性についての訴えがありました。政策局長からは
段ボールベッドの配備については至急検討してまいるとの御答弁をいただき、実際に避難所20か所に配備していただきました。もちろん
段ボールベッドも軽く、利用後もリサイクル可能な資源として生まれ変わるなどメリットも多い代物ですが、さらに
収納スペースを取らず、
段ボールベッド以上に軽いアルミでできた超軽量折り畳み式ベッドが開発されております。
実際に公明党会派でも実演に挑みましたが、まずコンパクトに収納ができ、アルミでできているため、女性でも軽々と持ち運ぶことができます。軽さだけではなく、耐荷重も150キロまで耐えられるため、うちの吉田議員が実際に寝てもびくともしませんでした。また、大きいメリットとしては、
段ボールベッドと同額で何度でも利用可能な点です。もともと
キャンプ用品として生まれたのですが、
技術力向上により、その軽さや耐久性から災害対策として一目置かれるようになり、既に他都市でも導入されております。本市において、このような最新技術を取り入れた画期的な備品も積極的に取り入れていただきたいと思いましたので、御紹介させていただきました。
それでは、次の質問に移ります。
防災行政無線についてお尋ねします。
今回のような大型台風が接近する場合、全ての市民がいち早く正しい防災情報を知り得ることが大変重要となります。防災情報を知る手段としては、テレビや新聞、ラジオなどのマスメディアをはじめ、メール、LINEなどのSNS、
防災アプリなどのICTを活用して得るわけですが、特に情報弱者と呼ばれる方々にとっては、いつ避難するかなどの
避難タイミングやどこに避難するかなどの判断が難しい場合もあります。このような方々に有効とされているのが
防災行政無線であろうかと思います。しかしながら、
防災行政無線には課題もあります。
まず1点目は、今年7月の豪雨や9月の台風においてもそうでありましたが、豪雨や台風の中、窓を閉めた部屋の中では何を言っているのか分かりません。この問題について本市に伺ったところ、
防災行政無線放送確認ダイヤルというものがあり、このダイヤルに電話すると、
防災行政無線で24時間以内に放送した内容が流れるというもので、通常の地域の
行事案内等の確認にも使えるとのことでした。しかし、このダイヤルのことを何人かに聞いてみましたが、誰も知りませんでした。
2点目は、設置場所の課題です。
本市は平成23年の
東日本大震災を受けて、沿岸部や山間部を中心とした
津波土砂警戒区域に、また平成24年の
九州北部豪雨を受けて、
白川中流域や合志川に国の補助制度を活用し、
防災行政無線を設置しています。しかし、本年7月の豪雨災害に象徴されるように、近年、大規模な河川の氾濫の危険性が強く叫ばれています。また、今年から
統合型ハザードマップが公開されていますが、大規模洪水の際は白川水系、緑川水系などの河川流域のほとんどが2メートル以上の浸水となることが分かりました。こういったことから、
防災行政無線の設置地域を広げる必要があると考えますし、地域住民からも流域住民からも設置を望む声があります。
そこでお尋ねいたします。
1点目、
防災行政無線放送確認ダイヤルについて、地域住民への確実な周知が必要ではないでしょうか。
2点目、
防災行政無線の地域住民からの設置要望の状況並びに設置地域の拡充についてのお考えをお尋ねいたします。
以上、政策局長にお尋ねいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長
防災行政無線に関する2点の御質問にお答えします。
まず、
防災行政無線放送確認ダイヤルの市民への周知についてでございますが、
各区まちづくりセンター等を通じて情報提供を行っているところでありまして、今後は区役所との連携はもとより、ホームページや市政だより等の広報媒体を活用しまして、さらなる周知に努めてまいります。
次に、
防災行政無線の整備についてでございますが、国の特例措置を活用しまして、平成25年度から29年度までの5年間で重点的に行ったところでございます。具体的には、
アナログ設備の
デジタル化に合わせまして、高潮や津波被害のおそれのある沿岸部、
土砂災害危険箇所、さらに平成24年
九州北部豪雨で甚大な被害が発生した白川、合志川など、早急に対策が必要な地域での整備を行ってまいりました。
一方、近年の
線状降水帯による集中豪雨のように、河川の急激な水位の上昇など、危険な状態が迫っていることを緊急的に住民に知らせる方法としまして、
サイレン機能を持つ
防災行政無線が効果的でありますことから、現在も河川沿いの自治会等から設置要望をいただいているところでございます。
このようなことから、議員御案内の白川、緑川水系の重要な水防箇所など、特に河川氾濫の危険性が高い地域における
防災行政無線の必要性を認識しておりまして、現在、国に対して補助制度の創設など財政支援の要望を行っているところでございます。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
防災行政無線放送確認ダイヤルについては、情報提供しているとのことですが、ほとんどの方は御存じないと思います。特に放送が聞こえづらい地域の方には気になる大事な情報ですので、例えば今回のような台風のときはテレビで避難所の情報を流すのに合わせ、このダイヤルの存在も紹介するなど、活用する広報媒体も見直していただくよう求めておきます。
また、
防災行政無線の整備については、国に対し補助制度の要望を行っているとのことで、これについては我が会派としても国に要望しており、できるだけ早く補助制度が創られ、整備が進むよう取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、
デジタル化対応についてお尋ねします。
初めに、本市の
情報処理人材の育成についてお尋ねします。
総務省の2021年度の重点施策では、
デジタル改革の加速により新たな日常を構築するため、国・地方を通じたデジタル・ガバメントの推進を掲げています。この
デジタル化については、国は20年ほど前からe−
Japan構想を示すなど、その実現を目指すとしておりましたが、
マイナンバーカードの取得率を見ると分かるように、なかなか進まない現状でした。
そんな中、本年、世界中を
新型コロナウイルスが襲い、各国がその対策に追われる中、我が国の
デジタル化の遅れが一挙に表面化しました。この危機感から、菅総理は、看板政策の
デジタル庁新設へ年内に基本方針をまとめ、来年の通常国会に必要な法案を提出する考えを表明しました。
本市としても、今後、
デジタル庁から出される対策への対応が求められることになります。本市としても、これまで
マイナンバーカードの推進、AIやRPAの導入、テレワークの推進などについて、積極的に取り組んでこられていると認識しておりますが、今後はこのような取組に加え、全国の
行政システム標準化への対応という大きな課題への対応も迫られています。
私は今後、このような急速な
デジタル化に対応できる
本市情報処理人材の強化、拡充が必要であると考えます。
また、毎年増え続けているシステムの開発、維持、管理、運営にかかる費用も課題であります。確かに
デジタル化が推進すればするほど、
システム関連の経費が増えるのは致し方ないのですが、予算審議で議会に出される
システム関連経費が本当に適正なものかどうか、議会側で確認することは困難であります。例えば、多くの
システム関連経費は、業者への随意契約での委託であります。そのように他社との競合がない中、ITの専門家ではない職員が、その道のプロである賢い業者が提出した見積書に対して、適切な価格かどうかの判断ができているのか疑問を抱いております。
また、
システム設計の段階で将来的に制度が変わることを想定し、あらかじめ制度が変わっても最小限の修正で対応できるような設計としておくことで、改修費用を抑えることができるのではないかと思っています。
さらに、同じ情報が複数のシステム上で管理されているケースもあり、それらを連携して一元化することで、効率的で安定したシステムとなり、費用も抑制できます。このような合理的、効率的なシステムとするには、業務設計の段階の要求仕様の出来栄えで決まると思っております。そのためにも業務に精通した人材と、それを合理的、効率的なシステムになるよう要求仕様に落とし込める人材が必要です。
現在、本市は
非常勤特別職として
ICTアドバイザーに月2回来ていただき、
情報化推進協議会等で助言をいただいていると伺っています。そこで私は、今後はこの
ICTアドバイザー等の民間の知識、知恵をもっと活用し、IT人材の育成に力を入れるべきだと思っております。
そこでお尋ねいたします。
1点目、
システム開発費や研修費について、どのようにして適正価格かどうかの判断をしているのでしょうか。
2点目、合理的、効率的なシステムとなるよう、本市としてどのような工夫、取組をされているのでしょうか。
3点目、業務に精通した人材の育成、また、合理的、効率的な
システム要求仕様を作成できる人材を育成するために、
ICTアドバイザーの拡充など、民間の知識や知恵をこれまで以上に取り入れるべきではないでしょうか。
1点目、2点目は総務局長に、3点目は大西市長にお尋ねいたします。
〔
深水政彦総務局長 登壇〕
◎深水政彦 総務局長 本市の
デジタル化への対応に関するお尋ねに順次お答え申し上げます。
近年、増加傾向にございます
情報システムの構築や改修にかかる経費につきましては、積算内容を厳格に精査し、適正に執行することが重要であるというふうに認識しております。
具体的には、同じパッケージを導入している他
政令指定都市との比較や、本市の
類似システムとの
プログラム本数、SEの作業時間数等の比較に加えまして、外部から招聘している
ICTアドバイザーからの専門的な見解を踏まえ、精査をしているところでございます。
また、合理的なシステムとなりますよう、これまでも、
くまもと電子申請窓口などの県及び県内自治体との共同運用や、クラウド利用の推進によるサーバー等の削減を進めてまいりましたほか、今後におきましても、各システムを統一することでおのおの調達していた端末を共通利用するなど、システムの合理化、効率化を行いながら予算の適正な執行に努めてまいります。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 上質な市民サービスを迅速かつ効率的に提供するためにも、行政の
デジタル化を早急に進める必要があると考えておりまして、そのためにはデジタル技術の専門知識を有する人材の確保、育成に加え、組織体制の整備など情報部門の強化が不可欠であると認識しております。
本市においては、専門知識と経験を有する情報職の採用や専門知識習得のための職員研修に加え、民間企業からの
ICTアドバイザーの招聘などに取り組むことによって、人材の確保、育成に努めているところでございます。
今後、国が予定しております
デジタル庁の設置やデジタル関連法案など、その動向を的確に把握しながら、さらなる本市職員の人材育成と
ICTアドバイザーなどの民間知見の積極的な活用に努め、より質の高い市民サービスの提供につなげてまいりたいと考えております。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
総務局長からは、
システム関連経費の適正価格の判断方法と合理的、効率的なシステムとなるような工夫、取組について御答弁いただきました。できれば今後、予算審議などにおいて規模の大きなシステムについては、ただいま御答弁いただいた政令市との比較や
プログラム本数、SEの作業時間の比較や
ICTアドバイザーの見解、また、合理的、効率的なシステムとなるように工夫した点など、可能な範囲で分かりやすい資料を議会側に提示していただきたいと思います。それによって、私たちもより具体的な審議ができると考えますので、よろしくお願いいたします。
また、市長からは、国のデジタル政策の動向を的確に把握しながら、職員の人材育成と
ICTアドバイザーなどの民間知見の積極的な活用に努めるとの御答弁でした。今後、国のデジタル政策が進み、自治体に要求される標準化対応も増えてくると想定されます。そうなると、必ず業務とシステムの両方に詳しい職員が必要となります。ぜひとも、そのような職員を育成することで委託業者と十分な意思疎通が図られ、無駄のない効率的なシステムとなるよう人材育成に取り組んでいただくことを求めておきます。
それでは、次に、AIやRPA導入の取組についてお尋ねします。
近年、AIやRPAを活用した行政サービスが全国の自治体で開発されています。例えば、AIについて事例を紹介しますと、AIを導入する動きが活発になったのは、2018年頃からのようで、様々な分野で実証実験やモデル事業が始まりました。私が特に印象に残った事例は、保育所の入所選考で職員15名が3日間、延べ500時間かかっていた作業が、AIを導入したところ約5分で完了し、職員の手作業による結果とほぼ一致したとの記事でした。この結果があってか、今では多くの自治体でこのAIによる保育所入所選考を導入しているようです。
また、AIによる音声を文字に変換できる技術や、市民が手書きした書類をAI搭載の文字認識装置でテキスト文字に変換する技術も、かなり高い精度で変換できるようになっており、例えば議会で発言された音声もAIで議事録に変換されています。また、チャットボットと呼ばれるAIを活用した対話ロボットでの相談事業も多くの自治体で導入されています。
次に、RPAですが、昨年、国のRPA導入補助事業に多くの自治体が採択され、実証実験等が行われており、九州では10団体、熊本県では2団体、荒尾市と宇城市が採択されました。
そこで、今年2月に宇城市にヒアリングに行きました。宇城市の担当者からは、この1年でRPAの導入事例は格段に増え、自治体としても導入しやすい環境が整備されていることや、規模が大きい自治体ほどRPAの導入効果は大きくなることを伺いました。特にRPA導入により、定型業務が自動化され、より付加価値の高い業務へ人と時間を再配分することができることなど、単純に人を減らすためではなく、今までできなかった企画などの政策的な業務であったり、絶えず住民と接する業務であったり、どうしても人が必要となる部分に時間を割けられるようにしていくことがRPA導入の狙いであるなどの話を伺い、RPA導入により、より住民福祉の向上が図られるようになることが最大の目的であらねばならないと感じました。
本市でも、AIやRPAの導入に向けた取組がいよいよ始まっているようです。昨年12月の一般質問では、我が会派の藤永議員のRPAについての質問に対し、住民異動の入力業務や児童扶養手当、ひとり親家庭等への医療費助成に係る現況届の入力業務などにRPAを試行的に導入するとともに、今後全庁的な展開を見据え、導入効果が見込める業務の洗い出しを行っているとの答弁でありました。
そこで、AIやRPAについて、これまで導入した業務について、期待していた効果が得られているのか、また、今後導入を予定している業務と、その業務を選択した理由、スケジュールなどについてお尋ねをいたします。
総務局長にお尋ねいたします。
〔
深水政彦総務局長 登壇〕
◎深水政彦 総務局長 AI、RPAの導入についてお答え申し上げます。
まず、RPAの導入効果につきましては、児童扶養手当、ひとり親家庭等医療助成費業務において、令和元年度より本格導入し、時間外勤務が約1,100時間削減されるなどの効果が得られております。また、住民異動業務におきましても、タブレットによる電子申請とRPAによる自動入力を令和2年9月より中央区区民課に導入し、市民の待ち時間が9月、10月の2か月間で126.5時間短縮され、期待した効果が得られていると認識しております。
議員御案内のAI音声認識を活用した議事録作成ツールは、今月より全庁利用を開始したところであり、また、市民から寄せられた質問に回答するAIチャットボットについても、来年3月に運用を開始する予定でございます。
今後も、引き続きRPAによる内部事務の自動化やAIデータ分析に基づく政策立案など、幅広く検討を行い、導入効果の高いものから順次、試行導入を進めてまいります。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございます。
RPA導入により大きな効果が得られているようです。また、今月から議事録作成ツール、来年3月にAIチャットボットも開始され、今後もさらにAIやRPAの導入を進めていくとのことで、期待をしていきたいと思います。また、これらの導入により、職員の時間に余裕ができ、より住民福祉の向上につながることを望みます。
次に、情報弱者対策についてお尋ねいたします。
デジタル化が進むことで、インターネットを利用できる者と利用できない者の間にもたらされる格差、情報格差がますます増えることが懸念されています。インターネットを利用できずに、本市の様々な情報やサービスを受けることができない、いわゆる情報弱者へどうやって情報を伝え、サービスを受けられるようにするのか、このことがますます大きな課題になると思われます。
我が国でも、子供の頃からICT教育や情報リテラシー教育、プログラミング教育などを取り入れる動きが高まっていますが、情報格差をなくすには、今後10年、20年の年月が必要であろうかと思います。したがって、今いる情報弱者の方々に対する有効な対策を講じる必要があると思います。
その対策の一つとして、さいたま市が取り組んでいるICTリーダーの導入を提案いたします。これは、ICTスキルの普及に意欲のある方々を対象に、地域ICTリーダー養成講座を開催し、ICTリーダーに認定された方が、地域のスマートフォン初心者の方に対して基本的な操作を一人一人に丁寧に教えることで、その地域の情報格差を解消しようとする取組です。例えば、メールやLINEなどのやり方、文字検索やQRコードの読み取り方、防災情報など行政情報の見方、スマートフォンを使う上で注意すべきことなど、具体的な操作方法を小グループ単位に一人一人に丁寧に教えることができれば、情報格差の解消につながると考えます。
また、総務省でも、本年度よりデジタル機器の利用方法について、デジタル活用支援員が高齢者などに身近な場所で気軽に相談できる実証実験を全国11か所で始めています。
そこでお尋ねいたします。
本市の情報弱者対策として、今紹介しましたICTリーダーやデジタル活用支援員の導入を提案いたしますが、いかがでしょうか。
文化市民局長にお尋ねいたします。
〔井上学文化市民局長 登壇〕
◎井上学 文化市民局長 本市では、令和2年3月に策定した熊本市生涯学習推進計画におきまして、基本施策として人生100年時代を見据え、ICT等を活用した学習機会の提供や学習内容の充実を図ることを掲げております。今年度は、新しい生活様式に対応したICT講座の実施を公設公民館の重点事業の一つに位置づけており、スマートフォンやパソコンの使い方講座などに取り組むほか、各区においても民間の通信事業者と連携したスマートフォン教室などを実施しております。
また、地域自治会や各種団体等におきましては、SNSや専用ホームページを活用した住民への情報発信や、ICTを活用したウェブ会議開催などの活動も行われております。
議員お尋ねの情報弱者対策につきましては、本年10月に策定しました熊本市経済再建・市民生活安心プランの中でも、地域活動の支援として、地域団体におけるICT活用推進や環境の整備を進めることとしており、地域のICT推進と併せて、知識やスキルの向上が図られるよう、さいたま市や総務省の事業なども参考にしながら、地域や民間事業者等と連携し、様々な対策に取り組んでまいります。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
本市としても様々な情報弱者対策に取り組んでいただいていることが確認できました。ここで注意すべきことは、民間の通信事業者などから派遣される若いICT推進員が、どれだけ丁寧にスマートフォンの操作を説明しても、情報弱者である高齢者には専門用語が多過ぎて、何を言っているのか分からないことがよくあります。また、ICT推進員側も高齢者が何が分からないで戸惑っているのか、それが分からないといったこともあります。
したがって、互いに気心が合う者同士で教え学び合う環境を目指していくべきであると思います。例えば、五、六人の小さなグループ、お茶飲み友だちのグループや踊りなど趣味のグループ、日頃より顔なじみが集まるグループの中にスマホ操作に詳しいリーダー的な人が1人いれば、じっくりとほかのメンバーに先ほど申しましたようなメールやLINEなどのやり方など、具体的な操作を教えることができます。このような取組が広がれば、情報格差の解消も進むのではないかと考えますので、ぜひ本市としてもご検討いただきたいと存じます。
次に、情報産業界の
デジタル化についてお尋ねいたします。
県内のソフトウェア関連会社でつくる熊本県情報サービス産業協会が、地場産業の
デジタル化に関する施策の提言書を本市と熊本県に提出しています。本年10月に提出された提言書では、大きく3つの項目について提言されています。
1点目は、地元企業のDX社会への適応推進とあります。DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルを浸透させることによって、トランスフォーム(社会構造が変化)することです。この変化に地元企業が適応できるように支援する必要が提言されております。
2点目は、生活者目線のITクロスイノベーションによる新産業創出の推進とあります。ITを活用し、医療、福祉、観光、農業などの様々な産業をクロス(横断)させることで、新しい産業を創出するための支援を行うことが提言されています。
3点目は、ICT活用人材の育成、獲得と関係人口の拡大とあります。様々な分野でITを活用するノウハウやスキルを持った人材が必要となり、その育成、獲得が急務であることが提言されております。これらの提言は、
デジタル化に向けた本市の発展に大変有用であります。
そこで、これらの提言に対する本市の具体的な取組について、経済観光局長にお尋ねいたします。
〔田上聖子経済観光局長 登壇〕
◎田上聖子 経済観光局長 熊本県情報サービス産業協会の施策提言に対する本市の具体的取組についてお答えいたします。
熊本県情報サービス産業協会は、平成11年にIT関連産業の発展に寄与することを目的に発足した団体であり、現在、県内69の情報関連事業者が構成員となっておられます。平成24年度以降、地場産業の
デジタル化などに関する施策提言を本市にいただいているところでございまして、先般、熊本県情報サービス産業協会と熊本商工会議所並びに本市を構成員とする熊本市地域雇用創造協議会を設立し、国から地域雇用活性化推進事業の採択を受けたところでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
当該採択事業におきましては、ICT利活用人材の雇用創出を重点分野として定め、本年いただいた提言のうち2つの項目に取り組むこととしております。具体的に申し上げますと、地元企業のデジタルトランスフォーメーション社会への適応推進の提言につきましては、地元企業に向けたICT利活用の好事例の紹介や、専門家の派遣を実施いたします。
ICT活用人材の育成、獲得の提言につきましては、求職者に向けたICTの技術者としての基本的な知識や技能などを身につけるICTスキル習得研修の実施、そして、求人企業へのインターンシップ及びオンラインによる合同就職説明会を行う予定としております。
また、ITを活用し産業をクロスさせた新しい産業の創出の提言につきましては、当該採択事業とは別に、熊本国際観光コンベンション協会におきまして、市電・バスの1日乗車券と観光施設の入館料等がセットになった周遊アプリ、熊本版観光型MaaSの導入を進めているところでございます。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
経済観光局長からは、熊本県情報サービス産業協会、熊本商工会議所と本市で熊本市地域雇用創造協議会を設立したとのこと。また、国の事業の採択を受けての取組や本市独自の取組として、熊本版観光型MaaSの導入を進めているとの御答弁でした。国の事業が採択を受け、協議会ができたことにより、新たなICT人材が増加するなど、さらなる本市産業界の
デジタル化が進むことを期待いたします。
それでは、次に、児童虐待についてお尋ねいたします。
毎年11月は児童虐待防止推進月間です。これに合わせ、私ども公明党は毎年街頭演説を行っており、先月7日にも女性局・青年局を中心に街頭演説を行い、児童虐待を起こさせない社会の実現に向けた政策を訴えました。
また、平成30年第3回定例会で、我が会派の三森議員が児童虐待問題を取り上げ、家族再統合の取組の重要性、高い専門性を持った人材育成の必要性などを訴え、執行部と課題の認識を共有し、大西市長からも、県議時代から児童虐待問題に強い思いで取り組まれ、児童相談所の体制整備や人材育成を強力に推し進めたいとの御答弁をいただきました。
本市要保護児童対策地域協議会の今年度の資料によりますと、本市児童相談所への児童虐待の相談件数は、令和元年度は1,114件、前年度比で122.6%の増、この7年間で3倍に増えております。区ごとに行われる要保護児童対策協議会のケース件数も年々増え続けており、児童虐待問題に当たる現場への負担は急激に増加、ケースごとの丁寧な対応ができなくなるおそれが出ていると想定されます。
特に児童相談所は、重い虐待ケースが増えており、その対応でいっぱいになっているのではないでしょうか。施設から退所した子供の見守りなど、フォローも現状十分ではないと伺っております。また、虐待ケースに携わる全ての職員のスキルを高めることも重要です。
本市として、これまで児童相談所や各区の体制を強化してきたと伺っておりますが、現状のままでは十分とは言えず、重大事故が発生する危険性が高まりつつあるのではないかと危惧しているところでもあります。
そこでお尋ねいたします。
1点目、前回の三森議員の質問以降、どのような児童虐待対策強化を施されましたでしょうか。
健康福祉局長にお尋ねいたします。
2点目、平成28年の児童福祉法改正により、2022年までに児童相談所に弁護士、医師を常駐させることになっていますが、いまだ常駐となっていないようです。重大事故を起こさせないためにも早期に弁護士、医師を常駐させるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
総務局長にお尋ねいたします。
〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美 健康福祉局長 私からは、1点目の児童虐待対策強化の取組につきましてお答えさせていただきます。
児童相談所におきましては、毎年度増加いたします本市の児童虐待相談に対応するため、児童福祉司や児童心理司等の職員の増員や、専門性の向上のため職種別の研修や実務経験に応じました研修会へ計画的に派遣をいたしまして、人材育成に取り組んでいるところでございます。
また、本年度から地域の家庭や子供の支援を行っております各区保健子ども課を子ども家庭総合支援拠点といたしまして、児童虐待相談員等の人員を配置して、相談体制を強化したところでございます。
さらに、本議会に児童家庭支援センター設置の予算を計上しておりまして、虐待再発防止プログラムの実施や家族再統合など、より専門性の高い支援に取り組むことといたしております。
〔
深水政彦総務局長 登壇〕
◎深水政彦 総務局長 私からは、弁護士、医師の配置についてお答え申し上げます。
議員からもありましたように、児童福祉法の改正によりまして、令和4年4月までに児童相談所への弁護士及び医師の配置が義務化をされたところでございます。
したがいまして、現在、必要な人員の確保に向けまして、関係局と協議を進めているところでございます。できる限り早期の配置ができますよう努めてまいりたいと考えております。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
健康福祉局長からは、児童相談所職員の増員や研修会など、人材育成に取り組んでいること、各区の保健子ども課の体制強化、また、本議会に児童家庭支援センターの設置の予算を計上しているなど、児童虐待対策強化に積極的に取り組んでいただいていることは理解しました。
一方、総務局長からは、弁護士、医師の配置について現在協議中とのことで、改めて早期の配置を求めておきます。
そこで次に、児童家庭支援センターについてお尋ねいたします。
児童家庭支援センターとは、平成8年、(仮称)こども家庭支援センターとして、当時、都道府県を中心とした全国175か所にある児童相談所の裾野を広げるため、より地域に密着した迅速かつきめ細やかな相談を行う機関として位置づけられました。そして、平成9年の児童福祉法改正により、児童家庭支援センターは正式名称となり、児童養護施設や乳児院などの児童福祉施設に附属する形で創設されました。
しかし、その後、平成16年に児童虐待防止法と児童福祉法が大幅に改正され、子供と家庭からの相談については、まず市町村がその相談に応じることとなりました。これにより、児童家庭支援センターの役割も、次の3点が変わりました。
1点目は、それまで児童家庭支援センターが扱う相談は、地域家庭からの様々な問題とされてきましたが、これが専門的な知識及び技術を要する問題になりました。
2点目は、それまでは児童家庭支援センターは、児童相談所から依頼を受けて指導を行うと規定されていたものが、市町村からの求めに応じ、技術的助言、その他必要な援助を行うとされ、児童相談所とともに最前線に立つ市町村への支援を行う機関としての位置づけが明確になりました。
3点目は、児童家庭支援センターの設置について、児童福祉施設への附属要件が撤廃され、NPO法人でも設置が可能となりました。
そして、さらに平成23年には、里親及びファミリーホームへの支援が児童家庭支援センターの業務に付け加えられました。
また、近年深刻な児童虐待事例が頻発する中、児童福祉の考え方が変わりました。
具体的には、保護者のない児童や保護者と生活することが適当でない、いわゆる社会的養護を必要とする児童について、一般的に親が育てられない子供は施設で養育していくんだというそれまでの概念を変えて、社会的養護の範疇に親子関係の再構築など、家庭環境の調整や地域における子供の養育と保護者の支援などの機能が加えられました。このようなことから、家族支援というものが注目されるようになり、この家族支援は児童家庭支援センターの役割としても重要なものと位置づけられるようになりました。
今後、児童相談所は警察や弁護士が絡む重たいケースや介入に特化せざるを得なくなると思われ、その他のケースについて、丁寧な関わりができなくなると予想されます。したがって、現在、児童相談所が担っている家族調整・再統合の機能、児童相談所対応のケースを未然に防ぐ取組、施設から帰った後の見守りなどについては、これを各区の保健子ども課や児童家庭支援センターに任せるべきであると思っています。
そこでお尋ねいたします。
本市として、児童家庭支援センターにどのような役割を期待していますでしょうか。また、どのようなスケジュールになりますでしょうか。
健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美 健康福祉局長 児童家庭支援センターは、民間の専門的なノウハウを生かし、区役所と児童相談所が行う児童や家庭に対する相談支援活動を補完する役割を担い、具体的には、児童虐待の再発を防止するための保護者向けのプログラムの実施や、子供が施設等から家庭に戻る際の家族再統合のための支援等を行うことといたしております。
スケジュールにつきましては、本年度中に公募により事業者を決定し、新年度からの業務開始を予定しております。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
児童家庭支援センターの役割として、児童虐待の再発を防止するための保護者向けのプログラムの実施や、子供が施設等から家庭に戻る際の親子再統合のための支援等を行うこととしていると具体的な役割をお答えいただきました。
また、本年度中に公募により事業者を決定し、新年度からの業務開始を予定しているとのことでした。御答弁にあったように、保護者向けのプログラムや家庭に戻る際の家族再統合など、家族に対する支援こそが今後、児童虐待をなくしていく最も肝要な取組になると思っております。
そこで、児童虐待対策における最後の質問として、今後の支援体制についてお尋ねいたします。
私は、今申しましたように、これからは家族支援に力を入れていくべきだと思っております。
先日、家族療法の第一人者である東京大学名誉教授の亀口憲治先生の講演を聞く機会がありました。家族療法とは、専門家が虐待などがある家庭の家族全員と面会するなどして、その家族同士の関係性に着目し、虐待が発生した根本原因まで遡り、その原因に対して具体的な理論に基づいた手当てを講じることで、虐待に至らないような家族関係に修復していくことを言います。亀口先生の言葉を借りると、社会の最小単位である家族の絆が綻びている場合に、それをどうにかして修復する具体的な理論、手当てが家族療法であるとのことでした。
家族療法は、欧米では既に60年以上前から発展しており、様々な手法が蓄積され、専門書も何百冊も刊行され、万単位の論文もあります。しかし、このことが日本の家族支援に関わる方々に届いていない、知られていないと嘆いていらっしゃいました。
私は、今回様々な方とお会いし、お話を伺う中で、今後本市として、家族療法の理論を取り入れた家族支援に力を入れていくべきだと強く思うようになりました。また、家族療法ができる人は、虐待も不登校も発達障害もDVも全て対応できると伺いました。そして、この家族療法を実施するのにふさわしいのが児童家庭支援センターだと思っております。
児童家庭支援センターは、ほとんどが社会福祉法人やNPO法人として民間で行っていることから、行政では手の届きにくいところに対応することができます。半官半民としての立ち位置を有効に機能させ、縦割り行政ではできないことも民間ではできることが多々あります。また、短期間で取りかかれるなど、小回りが利くことが民間のメリットです。
虐待における親子介入においては、児童相談所や区役所の職員と保護者は対立関係になってしまうことが多く、このような場合に、民間であり第三者の立場として児童家庭支援センターが間に入り、家族支援の部分を担うことで事態の悪化を防ぐことが期待できます。
そこでお尋ねいたします。
今回設置する児童家庭支援センターを一つのモデル的なものとして位置づけ、家族療法ができる人材を各区で育成し、区ごとに夫婦面接、家族面接、家族会議などの家族療法ができるような体制づくりを進めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
大西市長にお尋ねいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 児童虐待の予防や再発防止には、子供への支援だけではなく、保護者を含めた家族全体を支え、寄り添い続ける視点が重要であることから、児童家庭支援センターでは、民間のノウハウや専門的知識・技術を生かした家族支援を展開することとしております。
家族支援に当たっては、児童家庭支援センターと各区役所・児童相談所等が連携、情報共有を図り、重層的できめ細かに支援を行う体制を構築し、複雑多様化する子供や家庭をめぐる問題の解決に取り組み、子供の命と健やかな育ちを支える社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
〔25番
浜田大介議員 登壇〕
◆浜田大介 議員 ありがとうございました。
市長からは、家族支援に当たっては、児童家庭支援センターと各区役所・児童相談所等が連携、情報共有を図り、重層的できめ細やかな支援を行う体制を構築すると御答弁いただきました。区ごとの設置については言及がありませんでした。まずは今回設置する児童家庭支援センターをモデル的な位置づけとして、先ほど申しましたように民間としての児童家庭支援センターの強みを最大限に活用し、家族療法を積極的に取り入れ、実践していっていただきたいと思います。そして、将来的には1か所にとどまらず、各区への設置も目指していただくことを求めておきます。
次に、市営団地への若年層の入居促進についてお尋ねいたします。
近年、市営団地の入居者から、うちの団地は最近空き部屋が増えている。入居したい人はたくさんいるのにといった旨のお話をよく伺います。昨年までは、熊本地震で仮設住宅に暮らしている方々のために空き部屋を確保しているんですと説明しておりましたが、現在は、ほぼ解消されました。
また、我が会派では、以前から市営住宅への若者の単身入居を要望しており、2012年には、限定的ではありますが、若者の単身入居ができる制度ができました。しかし、その後、なかなか数が増えず、制度の活用は進んでいないように見受けられました。若年層の公営団地の入居促進については、他都市でも様々な取組がなされており、例えば京都市では、大学と連携し、学生が市営住宅に入居し、暮らしながら自治会活動にも参加することで、地域コミュニティの活性化にもつながっております。
さらに10月には、熊本市経済再建・市民生活安心プランを策定をしたところです。
現在、全国的に感染が急拡大をまたしておりまして、本市においても予断を許さない状況にある中、現時点での自己評価等は差し控えさせていただきたいと思いますが、今後とも、74万市民の命と暮らしを守るため、時々刻々と変化する感染状況や社会経済情勢の変化を見極め、必要な対策を迅速に講じてまいります。
〔44番 落水清弘議員 登壇〕
◆落水清弘 議員 目に見えない敵と戦う、本当に困ったものです。ただ検証だけは繰り返す必要があるわけですから、本当に毎日のように市長、検証を繰り返していただきたいと思っております。
今回の新型コロナ蔓延の早い時期に、市長は熊本市独自の
リスクレベルを設定されました。市民に対して、市長、熊本市のコロナに対する不退転での覚悟が伝わり、とても意義深いアピールだったと感じています。しかし、今、
リスクレベルの発出根拠データを2点示されましたが、私は根拠データが足りていないようだったと指摘させていただきます。
議員各位へは、会派控室の方にコロナグラフをお届けしております。市長にも前もって差し上げておりますが、このコロナ統計グラフは、10月下旬から
新型コロナウイルス感染症対策課の伊津野課長と何度も打ち合わせて作成していただいたものです。少し加筆もあります。
グラフAを見ていただければ分かりますように、本市の今年2月20日から11月20日までの死亡者・重症者を記載しております。大きな三角の山が3月下旬から5月20日頃までの分で、死亡者3名、重症者126名です。2つ目の山は8月20日をまたいだ前後1週間程度で、重症者は20名、死亡者ゼロです。3つ目の山は10月下旬から11月20日までの分で、死亡者1名、重症者8名です。
手書きの
リスクレベルは私が追記したものですが、最初の5月の山の時期のレベル3は初めてのことですから、これでよいと思います。しかし、7月27日、重症者のゼロのときにレベル3、警報に上げられました。そして、8月4日、重症者がぽんと1名出ているあたりですが、レベル4、特別警報が出されました。それから49日間、7週間にもわたり、行動規制のある最高レベル4、特別警報。高齢者はじめ、多数の市民が巣籠もり状態になり、運動不足、精神的ストレス、それらに伴う免疫力の低下を強いられました。最高レベル4が3に落とされたのは9月23日、Aグラフの白字のところです。
もっと他のグラフを含め、詳しく説明をしたいのですが、詰め将棋は私の政治信条に合いませんので、役所の方で見ていただければ、どこに何があったのかは分かります。私よりも賢い職員はたくさんおりますので。
なお、BグラフはPCR検査での陽性者と陰性者。Cグラフは陽性者のうち、発症者、無症状者。Dグラフは発症者、周囲者のグラフです。先ほど御答弁いただきました
リスクレベルの発出根拠データが2点では足りなかったことは多分御理解いただけると思います。
しかし、そもそも私が10月下旬から伊津野課長に依頼して、4週間かけて作っていただいたこの4グラフは、なぜ執行部内には存在していなかったのか。このことが私は一番重要なことだと思います。このことは執行部全体が統計データの重要性を認知、認識できていない明確なエビデンスです。とても残念です。
私は本年3月16日、予算決算委員会でコロナの感染率や死亡率の統計データの活用の話をしました。しかし、本市においても、国の専門委員会においても活用されているという印象がないのです。専門家や政治家が単なる主観、感想を述べても、社会は混乱するばかりです。
では、この場で皆様とともに、事実データとともにコロナの脅威を少し検証してみたいと思います。
A・Bグラフの死亡者と感染者を集計しますと、死亡者は4名、感染者は489名です。11月20日までの分です。熊本県警本部にお願いしまして、同じ時期の熊本市のみの交通事故の死亡者と負傷者を抽出していただきました。大変お手数をおかけしました。この場で感謝を申し上げます。
交通事故の死亡者は同じ時期で5人です。負傷者は1,333名です。これとコロナの感染者の死亡者4名と感染者489名を比較してみて、脅威なのかどうか。皆さん、どう思われますか。どう分析されますか。
全国データも申し添えます。
交通事故死は過去3年間は3,000人台です。コロナの死亡者は一昨日、11月30日現在で2,152人です。
では、質問です。
まず、令和元年と2年、1月から6月の半年間のインフルエンザ及び肺炎での本市の死亡者数をそれぞれお示しいただき、その元年と2年の比較、回答をお願いします。
次に、今回の同時期のインフルエンザと肺炎の死亡者数と、同じ半年のコロナ死亡者数の比較、回答を願います。
次は自殺者数です。今年、昨年、一昨年、3年間の同じ9か月での、1月から9月までという意味です。今年がその統計しか出ておりませんので。今年、昨年、一昨年、3年間の分を比較、回答をお願いします。
以上3点の比較分析と世界の主だった国と日本の100人当たりの死亡者数も教えてください。
頭の切れられる中村副市長にこの件は御答弁願います。
〔中村賢副市長 登壇〕
◎中村賢 副市長 お答え申し上げます。
厚生労働省の人口動態統計調査によりますと、熊本市における季節性インフルエンザ及び肺炎による死亡者数は、令和2年1月から6月までの間で、それぞれ3人及び191人となっております。対前年同期と比べて、それぞれ20人及び57人減少したところでございます。また、同期間における
新型コロナウイルス感染症による死亡者数は3人となっております。
新型コロナウイルスによる死亡者数は、季節性インフルエンザによる死亡者数と同数ではございますが、同期間における把握可能な感染者数は、季節性インフルエンザが1,585名、
新型コロナウイルスは40名となっております。
新型コロナウイルスの致死率に関しましては、現時点では1%、ですから100人に1人という割合まで低下をしておりますものの、0.1%以下とされております季節性インフルエンザに比べ、なお10倍程度の違いがあるところでございます。
次に、警察庁の調査によりますと、令和2年1月から9月までの熊本市の自殺者数は87人でございまして、昨年1年間の総数88人と既に同数程度となっております。
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、自殺リスクの増加も懸念されるところであり、強い危機感を持って自殺対策に取り組んでまいります。
最後に、11月27日時点の
新型コロナウイルス感染症による100万人当たりの各国の死亡者数でございますが、アメリカが796人、フランスが777人、イギリスが842人、イタリア847人、オーストラリア36人、日本は16人となっているところでございます。
以上です。
〔44番 落水清弘議員 登壇〕
◆落水清弘 議員 インフルエンザ死亡者は今年は極端に減っている。肺炎死亡者もインフルエンザの割合ほどではないが、随分減っている。コロナとの今年半年の比較は、インフルエンザ死亡者は3人、肺炎死亡者は191人、コロナ死亡者は3人。コロナとインフルエンザが同数。
自殺者数の3年間の比較は、一昨年、昨年、年間自殺者数に今年の自殺者数は9月末で同水準になっている。つまり自殺者がコロナの影響で25%増えていると推定される。これは全国の自殺者報道と熊本市がほぼ一致したというわけです。
副市長は致死率を比較されましたが、コロナ、インフルエンザの抗体検査データがないと、これは比較はできないと私は考えます。しかし、自殺者を1人でも減らす方法はなかったのでしょうか。
人命か経済かという言葉がにぎわせました。しかし、あれは完全に間違っています。人命か人命かです。経済で首をくくった方も必ずおられます。本当に気の毒なことです。行動制限がどういうふうに今回国民に影響があったのか。これは検証が絶対に必要です。先般、高島福岡市長も何から何を守っていくのか、しっかり考えなければならないと記者会見で言われておりました。
さて、客観的データ分析がいかに人の心、精神を安定に導くかは、執行部各位も少しはお分かりいただけたかと思いますが、いま一度、客観的データというものが何なのかを御説明させていただきます。
まず、調査者の主観が入らない。つまり回答者を誘導する設問や、調査者にとって都合の良いデータのみでの分析のない検証データです。そして、比較時の数も大事です。最低3つ以上の基礎データです。そのような客観的データは、通常の判断能力とうがった見方をしない性格の持ち主が検証すれば、必ず人々の最大公約数の幸福を導くものとなるはずです。
さて、大西市長、さきの9月議会でEBPM推進経費の1,400万円の減額補正が上程され、可決されております。あれは本当に恐ろしいです。私は見落としておりました。まさかこのEBPM推進経費が、データ等の客観的な証拠に基づく政策立案のための調査経費であったとは。横文字4文字に惑わされて、見過ごすとは不覚でした。平成8年より、度々客観的データの有効性を訴えてきたにもかかわらず、せっかくスタートしようとしたにもかかわらず、3月、9月と2度もスルーしてしまうとは。本当に市民に申し訳ない限りです。
では、市長にお伺いします。
今回のコロナ対策を一つの実例として、客観的データの活用がいかに人の心を正常に動かすかを説明しましたが、9月議会で減額したEBPM推進経費、早急に復活上程をお願いできないでしょうか。
また、今現在、熊本市の数々の行政データは各課が保有管理し、一元管理がなされておりません。それぞれのデータを組み合わせれば、新たな政策の基礎データに変わることは間違いないです。そして、そのことを職員の誰もが気がついておりません。これは熊本市職員のデータが重要であるという認知、認識のなさの表れです。
対応策を大西市長、お示しください。
さらには、様々なビッグデータや国のリーサス、RESASの本市行政への活用も併せて、市長、お答え願います。
さて、今必要なコロナのデータは何か。それは市民の罹患データ。つまり熊本市民の何%が今年、コロナにかかったかということであります。このデータがあれば、対応策も市民に提示しやすいです。そして、それは抗体検査で分かります。医療調査機関で1人6,800円で調べてくれると書いてあります。
市長、ぜひ市職員や教員、市関係者の抗体検査をやられてください。1億ちょっとでできます。夜の街のお店の、今回上程されております予算の真水分の5分の1でできますから。
総務局長、お答え願います。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市のデータ活用に関する2点の質問に一括してお答えいたします。
まず、ICTやAIなどの新技術が発達し、それに伴うデータ流通量が飛躍的に増大する中、多様化する行政課題に的確に対応するためには、データなどの客観的な証拠を積極的に活用し、政策の有効性を高めることが重要であります。このため本市では、データなどの客観的な証拠・根拠に基づく政策立案(EBPM:Evidence Based Policy Making)を推進することとして、これまで先進自治体職員や統計の専門家などを招き、データに基づく政策立案に関しての職員研修を行ってきたところでございます。
また、令和2年度は、庁内システムと保有データの整理、人材育成を行うこととしておりましたが、コロナウイルス感染症対策に注力するため、本事業の実施については見直しを行ったものでございます。
今後、国の
デジタル化関連施策の動向等を注視しつつ、引き続き内閣府が提供いたしますRESAS(地域経済分析システム)の活用や職員研修の開催を通じ、職員のデータ活用に対する意識の醸成やスキルアップを図るなど、全庁的なEBPMの推進に取り組んでまいります。
〔
深水政彦総務局長 登壇〕
◎深水政彦 総務局長 私からは、
新型コロナウイルスの抗体検査についてお答え申し上げます。
新型コロナウイルスの抗体につきましては、厚生労働省が、どのくらいの割合の人に抗体が作られるのか、また、作られる時期や持続期間、さらには免疫が獲得できるのかといったことについて、現時点では明らかではないとの見解を示しているところでございます。したがいまして、現段階では市職員や教員に対し、抗体検査を実施する考えはございません。
〔44番 落水清弘議員 登壇〕
◆落水清弘 議員 大西市長、客観的データの活用、私は今の時代、市長の日々のエネルギーの5%を注いでいただいてもいいような、これはすごいことだと感じているんです。もしもやっていただけるならば、10年後には500億円の予算削減と、市民と市職員の笑顔が見られると私は確信しています。ぜひ1日も早い活用をお願いいたします。
総務局長、現時点では明らかでない。11月27日の読売新聞です。厚生労働省は、今年6月と12月に東京、福岡を初めとする5都市、2万3,000人の抗体検査をすると書いてございます。この読売新聞記事は市長に後で差し上げます。
総務局長、後ほどゆっくりお話ししましょう。
次に、コロナ最大の被害者、子供について。
今年、コロナが蔓延し出して、私が支持しておりますこうのとりのゆりかごのある慈恵病院へは、中高生の妊娠相談が過去最高の件数となっています。また、児童虐待、未成年の自殺も増えています。10代で予定外の妊娠をすれば、その女の子はどの選択をしても大きなものを背負って生きていくのです。
時間の都合で、今回は学力の遅れのみに絞って質問しますが、お伺いします。
全国道府県庁所在都市の中で、夏休みの日数の多い順に5都市と、熊本市の順位と日数、全国市町村平均を、教育長、お示しください。
また、残念ながら熊本市は大分上の方だと思います。それを想定して、学力の遅れがとても心配です。今後の対応、対策をお示しください。
続いて、保育園、こども園のコロナ・インフルエンザ等の臨時閉園マニュアル等について。
3月の予算決算委員会でも申し上げましたが、福岡市を参考に保護者感染等も含め、詳細マニュアルの作成を至急お願いします。
健康福祉局長、御答弁願います。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 子供たちの学習の遅れについてお答えいたします。
全国の46道府県庁所在地の夏休みは、長い順に1位が金沢市で36日、2位が長崎市で35日、3位が盛岡市と福島市で34日、5位が青森市と宮崎市で33日であり、本市は11位で30日でありました。また、文部科学省の資料によると、全国の公立小中学校における夏休みの平均日数は17.4日となっております。
本市の小中学校における学習の進度については、1学期末に行った学校への調査において、全ての学校が今年度の学習内容を年度内に終える予定であると確認をしております。学校再開後は、全ての小中学校における学習指導員の配置や、タブレットを活用したドリル等によって、個に応じた学習指導に努めております。
また、学習内容の定着については、日々の授業の中で教員が児童・生徒の学習の様子やテストの結果等で確認しております。
また、本市の学力の状況については、小学校3年生から中学校2年生までを対象として、毎年12月に実施しております熊本市学力調査の結果を客観的な指標としており、その結果から達成状況や経年変化を把握しております。今後も1月末に出る結果を分析し、コロナ禍にあった今年度の学習状況について注視してまいります。
〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕
◎石櫃仁美 健康福祉局長 私からは、認可保育園、こども園の臨時閉園マニュアルについてお答えいたします。
保育所等におきまして、
新型コロナウイルス感染症等の感染者及び濃厚接触者等が発生した場合は、国からの通知に基づき、個別に対応してきたところでございます。保育所等での判断基準となります対応例につきまして、議員御紹介の他都市の状況や関係団体の意見を踏まえながら、マニュアルをお示ししてまいりたいと考えております。
〔44番 落水清弘議員 登壇〕
◆落水清弘 議員 11位でしたか、熊本市は。全国平均が17.4日、本市が30日。やはり心配は拭い切れません。教育長、追跡調査のほどをよろしくお願いいたします。
では、続いて、いずれ来る南海トラフ3連動型地震について。
熊本地震以来、市民の心から地震の不安は消えたのでしょうか。しかし、次に来るのは、地元の断層直下型地震ではなく、南海トラフ3連動型地震だと言われる学者さんもたくさんおられます。
南海トラフ、そんな遠くの地震なら心配要らないだろうと言われる方もおられますが、そうではないんです。ネットで見てみてください。熊本市で、熊本地震の前震の震度6弱の揺れが5分から8分続く可能性があると書いてありました。それは何人もの学者が書いています。本当ならとんでもないことです。準備だけはしておかなければなりません。
どう準備するのか。災害医療を含め、なぜなら、そのときはよそから手伝ってくれませんから。災害医療も含め、お答えください。
また、本市の危機管理は紙の上では一元管理となっておりますが、残念ながら実態はそうはなっておりません。危機管理防災総室にコロナや災害医療の問合せをしても、それはあちらの課に聞いてくださいと言われます。これは一元管理とは申しません。細かい専門性の高いことであればいざ知らず、概念の説明はできなければ困ってしまいます。
さらには、職員の危機管理のための危機意識の持ち方についてですが、3月の予算決算委員会で実例を挙げておきましたので、もうここでは多くは述べません。危機意識が低ければ危機管理などはできません。
政策局長、併せてお答えください。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 南海トラフへの対応、行政危機管理の一元管理等について一括してお答えさせていただきます。
まず、南海トラフ3連動地震への対応についてでございますが、南海トラフにおける東海地震と東南海地震・南海地震の3つの地震が同時に発生するという仮定の下で想定されました連動型巨大地震が、3連動地震と言われております。
この3連動地震が発生しました際に、政府による被害想定によりますと、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があり、
関東地方から九州地方にかけまして、太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波が起きると想定されております。
本市は震源域からかなり離れておりますけれども、長周期振動により、最大震度6弱程度の揺れが長時間継続をしまして、相当の被害が生じるおそれがございます。さらに、被害が広域に及ぶことから、医療提供体制も含めまして、外部からの人的・物的支援が受けられない可能性が考えられるところでございます。
このような状況を考慮しまして、今後、南海トラフ3連動地震への対応も含めまして、地域防災計画や既存マニュアル等の見直しを行ってまいりたいと考えております。
続きまして、行政危機管理の一元化等についてでございますが、本市では、自然災害や大規模事故、武力攻撃等の国民保護、さらには感染症や健康被害に関する事案など、全ての危機事象につきまして、危機管理防災総室が中心となって一元的に管理することとしております。熊本地震の際は、災害対策本部の事務局となりまして、災害対応に努めてまいりましたが、支援物資や受援体制の遅れ、それから
避難所運営における地域等との連携不足など、地域防災計画やマニュアルにおける課題が明らかになったところでございます。
そこで、全庁挙げまして、地震への対応を総合的に検証しまして、自助、共助、公助の理念に基づく見直しを行うなど、地域防災力の向上に取り組んできたところでございます。また、この熊本地震の経験で培ってまいりましたノウハウを生かしまして、被災した他都市の支援、あるいは防災に関する講演等を積極的に行うことで、被災地の円滑な復旧等に寄与できたのではないかと考えているところでございます。
このように、これまでは主に自然災害への対応が中心でございましたが、
新型コロナウイルス感染症をはじめとする健康危機管理など、幅広い危機事象への対応が求められております。
そこで今後、
新型コロナウイルス感染症対策における危機管理の在り方について検証を行うこととしておりますので、それを踏まえ、関係する計画やマニュアル等の見直しを図りますとともに、職員の危機意識を高めていくための研修を実施するなど、全庁的な危機管理体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
〔44番 落水清弘議員 登壇〕
◆落水清弘 議員 政策局長、非常に大事なことですので、よろしくお願いしておきます。
次に、コロナから学習しての市庁舎の在り方について。
大西市長はコロナ対応として、自ら在宅勤務を率先してなされました。それは、調査データのない、目に見えない敵と戦うためには最も有効な手法です。市長職にはスペアはないのですから。これからの時代、コロナやSARS、MERSなどの未知の感染症が、過去のデータから想定すると5年おきぐらいに必ず襲ってくるわけです。世界中の先進国が在宅勤務、テレワークを余儀なくされているのはやむを得ないこととなります。
さて、現在、議会の庁舎整備に関する特別委員会はコロナで休眠状態ですが、いずれ再開されるわけです。
そこで市長にお願いです。
中央区長 横 田 健 一 東区長 宮 崎 裕 章
西区長 甲 斐 嗣 敏 南区長 村 上 誠 也
北区長 小 崎 昭 也
職務のため出席した事務局職員
事務局長 富 永 健 之 事務局次長 和 田 仁
議事課長 池 福 史 弘 調査課長 下錦田 英 夫...